結婚して12年目、2022年春。私たち家族は兵庫県から長野県へ移住することを決めました。
夫婦共に人生の優先順位を認識し、家族で移住を実現させるまでをご紹介します。
夫はカラーセラピーで内面的な魅力を見つめ、自分の思い描く豊かな人生とは「自然豊かな土地で暮らす人生」だということを認識するようになりました。私は「魅力案内人になるという自己実現」が人生の最優先だと気付きました。
そんな私たちの移住先が、なぜ長野県上伊那だったのかというと、夫が住んだことのある土地だったということ、私の希望である「山が見えるところ」という条件に合っていたこと、そして何より家族の満場一致で気に入った土地だったからです。
夫は豊かな自然、水、そこにいる自分を想像しただけでワクワクすることが決め手だったそうです。私は山が好きで、雄大なアルプス山脈と伊那谷のおおらかな雰囲気が気に入りました。長野県なのにほとんど雪かきが必要ないことも私にとって良かったことの一つです。そして何より、1番の決め手となったのは、長野県を訪れた時の夫の表情でした。
さかのぼること約2年前、コロナの緊急事態宣言があけGOTOトラベル真っ只中の2020年秋。結婚して11年、中々マイホームが決まらない私たちは、目線を変えて関西以外の土地に目を向けることにしました。
夫は定年後に、以前住んでいた長野県に移住したいという夢を持っていたので、一度家族で長野県へ行ってみようということになりました。15年ぶりに長野県を訪れることになった夫と、初めて長野県を訪れる私でしたが、実は当初、上伊那に立ち寄る予定はなかったんです。長野県の別の場所を訪れた帰りに、ひょんなことから上伊那に立ち寄ることになり、夫が住んでいたところを見てみようと軽い気持ちで車を走らせていました。
しかし、上伊那に到着するやいなや、素晴らしい自然が目に飛び込んできたのです。私は初めて見る上伊那の景色に圧倒されてしまいました。
夫は、実際に3年間住んでいたのにも関わらず「15年前の俺には、この山が全く見えていなかった!」と、今見えている景色が信じられないやら嬉しいやら、とにかくとてもはしゃいでいました。
そんな夫の姿を見て、私は「我が家のマイホームはここで決まりかな〜。」と密かに思いました。
結婚して家探しを幾度となく繰り返し、様々な場所で「アナタは本当にここに住みたいの?」と夫に問い続けてきましたが、体や声やエネルギー全てで「ここが良い!」と夫が伝えてきたのは初めてだったからです。
そしてそれは、今まで転校を嫌がって移住に乗り気ではなかった小学校三年生の長女さえも「お父さんのあの顔みたらしょうがないね。私も長野で友達ができたし…良いよっ。」と意見を変えるほどでした。
伊那谷は、南アルプスと中央アルプスに挟まれた緩やかな傾斜のある土地です。段々畑とアルプス山脈のコントラストは、雄大さや、清らかさ、ゆったりと流れる時間を感じさせてくれます。このような山脈に囲まれた土地ですから、ここに3年間住んでいた夫が、全く山を認識できていなかったなんて、私からすると信じられない話です。
でも、若かりし頃の夫には本当に見えていなかったそうで、あれだけはしゃぐ夫を見ると、実際見えていなかったのだろうと思わざるをえませんでした。
「じゃあ、何見てたの?」と聞くと、「んー、道。」とのこと…視野狭すぎませんか(笑)
雄大な山脈が見えないということが自分自身に起こり得るのだという事実に触れたことで、夫がしみじみ言うのです。「自分の感覚や記憶がすべて正しいと思うのは勘違いだわ。当たり前って本当に認識できないもんなんだな〜。」
長野県上伊那が気に入った私たち夫婦でしたが、私には捨てられないものがありました。
それは、都会の利便性です。
私は、駅が近くて電車で都会にすぐ行けるという生活しかしたことがなく、周りに駅が無い、車社会の生活はしたことがありませんでした。私が生活してきた環境は、車をほとんど使わずに生活できることが当たり前で、自転車を5分走らせればスーパーや銀行、クリーニング屋さん、ショッピングモールなど、生活に必要なものがほとんど揃っています。
方や、スーパーにいくにも公園にいくにも車移動という上伊那の環境に、正直不安はありました。ただ、上伊那のスーパーも公園も都会とは規模が違い、駐車場も広い!
道路も広くて、みなさんゆっくり運転されるので、運転のストレスはこちらより少ないと感じました。
うーん、いけそうではあるけれどまだ不安を感じてしまう。
移住したい夫は、心が揺れている私に「都会にわざわざ行かなくてもAmazonがあれば何でも翌日に届くんだよ。」と言い、都会の利便性を手放せないでいる私を口説くのです。
最初は、あまり聞く耳を持たなかった私でしたが、コロナ禍で実際に家からでない生活を経験したことで、だんだん夫のいうことも一理あるなと思うようになりました。緊急事態宣言などで、電車を使って都会に遊びに行くことは無くなり、たまに外に出ても車で近所に買い物にいく程度。服は主にユニクロやGUで揃うので、ホテルランチに出かけるような、ガッツリよそ行きの服は出番がなくなりました。
よそ行きの服を着る機会がなくなると、よそ行きの服が売っている都会に、買い物に行くことが減っていきました。たまに都会に行くとしても数ヶ月に一度で充分だと感じ、毎週のように都会に行っていた生活を手放せる気がしました。
そして、「あつまれ動物の森」(以下、あつもり)というゲームが、私の都会への利便性を手放すきっかけとなったのです。あつもりは、約400人の動物達から10人を自分の島へ招待し、住民と島の生活を楽しむゲームです。家を作ったり、海で泳いだり、ヨガをしたり…のんびりと島の生活を楽しむ仕組みが沢山あって、コロナ禍のおうち時間ですっかりハマってしまいました。
特に注目したのは、小さな商店と小さな洋服屋さんが一店舗ずつあるだけという世界観です。買い物の楽しみは満たしつつ、生活の楽しみ方は他にもたくさんあるんだということに気付かされました。釣りをしたり、花を育てたり、住民とコンサートを聴きに行ったり。
私は今まで、買い物にかなりの時間をさいていたことに気付きました。しかし、コロナ禍になりYouTubeでヨガを始め、家のベランダでキャンプをして家族と楽しむ時間が増えるにつれて、自分が生活に求める優先順位が変わっていったのです。
こうして、私の心はどんどん移住へ引き寄せられていったのでした。
上伊那には、夫が住んでいた15年前には無かったものが、ここ2、3年の間にできたそうです。スターバックス、スシロー、GUなどなど。子育て世帯の移住者が増えている地域なので、我が家にとっても嬉しいお店が続々とできていたのです。
【都会っ子の妻−心境の変化】
前は毎週のように都会へ遊びに行っていたけれど、今は家で過ごす時間を充実させることができているから、数ヶ月に一度遊びに行くぐらいで、事は足りてるのよね。ライフスタイル変わったな。
→上伊那って子育て世帯に嬉しいお店が揃っているんだ。スタバがすいてる!こちらではどこのスタバも混んでいるもんね。
→Amazonで大体欲しいものは家に届くし、移住…本当に考えてみようかな。
→何と言っても都会には無い、自然豊かな景観が素晴らしい。実際に訪れてみると、ゆっくり時間が流れていて癒されるな。都会っ子の私だって、のんびり暮らすことに憧れはあるのよ。
→えっ上伊那って長野県なのにほとんど雪かきはいらないの?移住への心配が一つ減った…それなら私でも住めるかな。
→長野県の夏って、夜には気温が下がるから熱帯夜がほとんどないんだね。都会じゃ夏の間は24時間クーラーつけっぱなしで…夏でも風を感じられるっていいかも。
→都会じゃ手が届かない広い庭付き一戸建ても夢じゃない?!すごーい、テンションあがる!
→アルプス山脈を見ながらのんびりコーヒーを飲む生活はどうかって?…くぅぅ最高。どこでも叶えられる生活ではないもんね。
家族で上伊那を訪れてから約1年、こうして私も上伊那の魅力にどっぷりハマることとなり、我が家は満場一致で移住を決めたのでした。
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